ボーイング社は長年にわたって日本との間で協力関係を築いてきました。ボーイング民間航空機部門は日本の航空産業と1969年から密接な関係にあり、他の部門は40年以上にわたって日本の業界と交流しています。また、宇宙分野においても1970年以来、日本の業界の発展を支援し、相互に実りある関係を築いています。ボーイング社は、日本の航空会社への最大の機材供給企業であり、防衛庁への主要装備および航空機の調達先、そして日本の航空宇宙業界の重要なパートナー、かつ顧客となっているのです。
ボーイングは、1953年2月に日本市場に進出しオフィスを構えました。現在は、二コール パイアセキがボーイング ジャパンの社長として、日本での民間航空機部門および防衛・宇宙・安全保障部門を統括しています。
ボーイング民間航空機部門
ジェット機時代の幕開け当時から日本は金額ベースでボーイング機の海外市場最大の顧客でした。日本の航空会社が2007年12月までに発注したボーイング機の総数は847機におよび、金額ベースでは800億ドル(リスト価格)に達しています。また、過去10年間に日本の航空会社が発注した機材の80%がボーイング機によって占められています。
このような関係の中で、日本はボーイング製双通路機の最大の顧客となっています。日本航空(JAL)はこれまでに合計186機の747型を発注、グループ全体としてリース機を含め現在59機を運航しており、747型の世界最大の顧客です。一方、全日空(ANA)はボーイング767型を現在61機運航しており、米国外における同型機の最大の顧客になっています。さらに、ボーイング777型に関しても日本の主要エアラインであるJALグループと全日空は合計86機を発注しており、日本は米国外における同型機の最大の市場です。その他、ANAは1999年、777型の3機種(777-200型、-200ER型、-300型)すべてを運航する世界初のエアラインでもあります。
787ドリームライナーは、ANAからの50機の確定発注を受け、ローンチしました。また、JALからも次期中型双通路機として、35機の787型機を受注しています。
日本は今後も世界での主要民間航空機市場のトップ5内に君臨し続けると予想されます。ボーイングでは、日本を含む北東アジアでは、今後20年間に約1,900億ドル相当にあたる1,200機の航空機を必要とすると予測しています。
一方、ボーイング社は日本から大型アセンブリーや完成品、サービスなどを多量に調達しており、現在88社以上の日本企業がボーイング製各民間機のプログラム・パートナー、サブコントラクターあるいはサプライヤーとなっています。
とりわけ三菱重工業、川崎重工業、富士重工業の3社は、30年以上にわたってボーイング社と密接な協力関係にあり、767プログラムがスタートした1978年以来、同プログラムに参加し、767型の胴体パネル、フェアリング、主脚ドア、主翼インスパーリブなどを製造しています。これら日本メーカーが提供する部品は767型の価格全体の15%に相当します。
さらに、三菱、川崎、富士の重工3社は777型プログラムにもパートナーとして参加し、1990年代初始めに777型の設計、製造、テストに参画しています。現在は胴体パネルおよびドア、中央翼セクション、主翼・胴体取り付け部フェアリング、主翼インスパーリブなど、777型の機体全体の約20%を供給しています。これは767プログラムに比べて大幅な増加であり、これら3社による777プログラムへの参加は同プログラムが終了するまで継続されます。また、三菱、川崎、富士の重工3社は787ドリームライナー プログラムにも参画しており、機体の35%を担当することになります。
その他、日本企業はギアボックス、前縁フラップ、化粧室、高度計、アクチュエーター、各種バルブ、ビデオ・エンタテイメント・システムなどをボーイング社に供給しています。加えて787ドリームライナーに、東レは主要構造部分に炭素繊維複合材料を、ブリヂストンはタイヤを提供し、ジャムコはラバトリーの提供、フライトデッキのインテリアとドア、そしてバルクヘッドの組立を担当します。
ボーイング社は新型787型機などの新型機を視野に入れ、複合材などの新技術を財団法人日本航空機開発協会、及び三菱重工業、川崎重工業、冨士重工業と共同で研究開発する正式契約に調印しました。787型機は効率性を誇る新型機で、223~259席、航続距離が8,500海里、従来機より20%燃料効率の良い経済性と快適性を兼ね備えた航空機です。
防衛・宇宙・安全保障部門
同部門は、2002年、軍用機・ミサイル部門と宇宙・通信部門の統合によって設立されました。卓越した戦闘機のメーカーでもあるボーイング社のこの分野での日本との関わりは、マクドネル・ダグラスがF-4Eファントム2機を日本の航空自衛隊に納入した1971年に始まり、その後、三菱重工業により1981年までに合計138機のファントムがライセンス生産されています。
ファントムの日本での生産が終了した1981年、「ピースイーグル計画」の下で、マクドネル・ダグラス製F-15イーグル10機が米国外への初輸出として日本へ納入されました。さらに1983年には、4機が日本に納入され、その後、合計200機近くのイーグルがF-15J/DJとして三菱重工業によりライセンス生産されています。ボーイング社は現在、三菱重工業と共に、21世紀に向けてF-15J/DJの性能を強化する作業を行っています。
一方、海上自衛隊がマクドネル・ダグラスのハプーン対艦ミサイルを1980年に初めて発注、これを皮切りにその後600基以上の空中・艦船・潜水艦発射型ハプーンが納入されています。現在、日本の海上自衛隊は米海軍に次ぎ、最大量のハプーンを保有しています。
1984年春には、CH-47ヘリコプターが初めて航空自衛隊に納入されました。以来、ボーイング社のライセンスを得た川崎重工業が約60機のCH-47を生産し、航空自衛隊、陸上自衛隊に納入しています。
2001年8月には、中期防衛整備計画(01~05年度)で陸上自衛隊への導入が予定されている戦闘ヘリコプターにAH-64D(アパッチロングボー)が選定され、さらに、12月には航空自衛隊への導入が予定されている空中給油・輸送機にボーイング767型タンカー・トランスポートが選定されました。2003年3月には、ボーイング、防衛庁および伊藤忠株式会社は航空自衛隊用に767型機を4機購入する契約を締結しています。なお、AH-64Dの第一号機は、2006年3月に陸上自衛隊にデリバリーされています。
宇宙関連事業に関しては、国際宇宙ステーションを始めスペースシャトル、デルタ型打ち上げロケット、海上の打ち上げ船から商業衛星を打ち上げる国際合弁事業シーローンチなど多様な宇宙関連事業に同部門は参加しており、新たな宇宙輸送ビジネスの形成に重要な役割を担っています。
ボーイング社はこれら宇宙関連事業分野でも日本の航空宇宙業界と協力関係を築いており、デルタⅢ型打ち上げロケットや新型アッパーステージ・エンジンなどの共同開発を行っています。また、2000年にはボーイング・ロケットダイン・プロパルジョン&パワーと三菱重工業がロケット用の新型エンジン“MB-XX”を共同開発することが先頃発表されました。この共同開発では、次世代の消耗型打ち上げロケット搭載に搭載される効率に優れ、廉価で、リスクの低い液体酸素/液体水素上段エンジンの設計・開発が行われます。
さらに、日本の航空宇宙産業が重要な役割を担っている国際宇宙ステーションの建設でもボーイング社は日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA・旧NASDA)やコントラクター、パートナーと協力し、実験モジュール、JAXA遠心機モジュール、JAXAのHⅡトランスファー・ビークルなど、日本が担当する部分に関連するハードや技術サポートを提供しています。国際宇宙ステーションに関しては、その運用と利用に関するアプリケーションを共同開発する協力協定が先頃ボーイング社と三菱重工業の間で調印しています。
その他、一般によく知られたボーイング社の製品としては、AWACS(空中警戒管制機)があります。AWACSは戦術・防空部隊に対し、空中からの監視、指令、管制、通信機能を提供する空中早期警戒(AEW)システムの世界標準で、現在E-3型のAWACSが世界中で66機展開しています。また、767型を使用した4機のAWACSが日本政府に納入されています。なお、767型のAWACSは日本の航空自衛隊により初めて実用化されました。
