座席利用率の上昇が航空業界にもたらす意味とは
世界の旅客輸送の8月のデータが今週(10月1日)発表されました。航空業界にとってより明るい兆候が見られ、旅客需要は前年同期比6.4%増と、またしても過去の成長率を上回る伸びになりました。
しかし、それ以上に驚くべきデータは、世界の座席利用率が85.3%だったことです。国際航空運送協会(IATA)によれば、少なくとも1990年以来最高の月間搭乗率です。
現在は7月と8月が慣習的に繁忙期であるため、座席利用率は増加する傾向にあります。ですが、季節性を考慮し、過去12カ月の平均をとっても、8月の時点でやはり81.1%と、少なくとも2010年以来最高の搭乗率になりました。
この数値には、私たちが目の当たりにしている傾向が反映されています。みなさんもお気付きかもしれません。航空機がこれまでより満席に近い状態で飛んでいるのです。
空の旅をする人が増えているのも事実です。しかし、満席に近い運航状況は、多くの航空会社が増席をせずに、レベニューマネジメントの方法とツールの進歩を駆使して需要管理を向上させてきたことがもたらしています。航空会社のこうした努力によって、座席利用率を高めて健全な収益を維持することが促進され、航空業界の健全性と収益性につながっているのです。
10年前、年平均座席利用率は76%でした。今年は好調で、ここでも81%を超える勢いです。年間の座席キロ(Available Seat Kilometers)が10兆近い状況での5ポイントの差は非常に大きいものです。座席利用率を76%ではなく81%で維持するということは、航空業界にとっては年間5,000億の旅客キロ(Revenue Passenger Kilometers)を追加することになります。
この状況を年間座席数から考えてみましょう。業界全体の座席数は55億席。その5%増ということは、乗客は毎年2億7,500万人増加することになります。
航空会社が所有機材でより生産的になっているなら、新たに多くの航空機を発注しないのではないかと思われるかもしれません。短期的にはそうかもしれませんが、長期的にはより健全で収益性の高い業界へと進んでいきます。より多くのジェット旅客機を発注し受け取る余裕が業界全体に生まれるのです。
私たちのチームは地域別と世界の座席利用率を詳細に追跡し、そのデータを毎年発表している民間航空機市場予測(Commercial Market Outlook, CMO)に組み入れています。今年8月、そして現時点までの結果は、業界がしっかりとした基盤の上にあり、今後20年間で4万2,000機の航空機を受け取る道を順調に進んでいるという自信を確かなものにしています(外出先でCMOの詳細を確認するにはアプリが便利です。App Store とGoogle Playからダウンロードしてご覧ください)。
みなさんはどう思われますか? 世界の座席利用率はどこまで伸びるでしょうか? 80%に達するのは不可能と誰もが考えた時代もあったのですよ。
Posted on 4 October 2018
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