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エコデモンストレーター・プログラム
概要
エコデモンストレーター・プログラムは、2010年にボーイングが発表、新たな航空技術を実用化する際に発生するリスクの削減に貢献するもので、米連邦航空局(FAA)、アメリカン航空、さらには日本のIHIをはじめとした業界大手の企業が参画しています。
このプログラムは、燃料消費、排ガス、騒音の削減に重点を置いており、FAAのCLEEN(Continuous Lower Energy Emissions Noise)プログラムに基づく新技術、さらにはボーイングをはじめとする業界のパートナー各社によって開発された技術を民間航空機に搭載してテストを行 なうもので、2012年には、アメリカン航空の次世代737-800型機を使用しています。
民間航空機業界では、2020年までにカーボンニュートラルの成長を成し遂げるという目標を設定しており、ボーイングは業界のリーダーとして、このプログラムをはじめとした数多くの取り組みを進めています。
デモンストレーター機に搭載する主な技術- 適応型後縁テクノロジー:FAAのCLEENプログラムで開発中のテクノロジー。離陸・巡航・着陸など飛行中のあらゆる段階において騒音と排ガスを削減します
- 可変面積ファンノズル:近隣騒音を削減するほか、エンジンを効率化する先進技術を可能にします
- 飛行計画時における運航路線の最適化:航空会社がより燃料効率に優れた路線を特定・運航できるようにするほか、パイロットが天候などの制約を受けた際に路線を変更できるようにします
- 機内電源用再生型燃料電池:効率的な発電・蓄電を実現するほか、航空機の電気システム要件に適合していることから、重量・燃料消費・二酸化炭素排出量をすべて削減する可能性を有しています
フライトテスト
2012年のフライトテストは、アメリカン航空の737-800型機を利用して8月24日に米国モンタナ州で開始、約1か月強、実施しました。特に10月 2日にシアトルで実施したテストでは、IHIが研究を続けてきた再生型燃料電池システムをエコデモンストレーターに搭載して飛行実証を行い、成功裏に終 わっています。この再生型燃料電池システムの飛行実証は世界初の試みであり、実用化が進めば、エンジンとは独立した電力の供給が可能となることから、航空 機による環境負荷の低減に大きく貢献することになります。
なお、2013年には、ワイドボディ機をテストベッドとして使用する予定です。(2012年 10月 04日)